- Very Good Quality -
「クロ・デ・フェ」は、ソムリエチャンピオンの「エルヴェ・ビゼル」が1998年に始めたドメーヌです。造り手の名がつけられたこの「ル・クロ・デ・フェ」は、シラー、ムールヴェードル、グルナッシュ・ノワール、カリニャン・ノワールを同量ブレンドして造られ、新樽100%でマロラクティック発酵と熟成が行われます。
2003年らしいヴィンテージの力が存分に感じられる内容で、同年のヴィエイユ・ヴィーニュ以上のポテンシャルが込められています。既に8年ほど経過していますが、まだまだ初期の飲み頃といった段階で、今後も5〜10年程度は軽く熟成し続けそうな印象です(かなりの長寿系かも…)。とはいえ、その世界観は既に明確化されており、現時点でも十分楽しめる内容になっているので、抜栓後に時間をかけるなどして工夫してやれば、そのポテンシャルはしっかり引き出せると思います。
内容はまさに「クロ・デ・フェらしいワイン」といったもので、超密度タンニンによる精緻さと厳しさがありながらも、スパイス豊富で果実の豊かさも感じられる、ルーションという地の真のクオリティを余すことなく堪能できる内容だといえます。甘く丸みのあるしっかりした果実感がアタックから広がるので口当たりは良いのですが、その後急速に収斂し、一気に強烈な辛味と渋みがぶり返してくるので、抜栓日は少し様子をみた方が無難かもしれません。まさにアメとムチ、太陽と北風といった様相で、相反する要素の明確な意思を持った主張による無限ループが凄まじく、ある種二律背反的指向性ではありますが、翌日以降に持ち越すとおぼろげながら妥協点が見えてくるので、体力を温存しながらもじっくり向き合ってもらいたいところです(基本的には翌日以降に持ち越すことで随分飲みやすくなる)。
(2011/11)