- Very Good Quality -
「クロ・デ・フェ」は、ソムリエチャンピオンの「エルヴェ・ビゼル」が1998年に始めたドメーヌです。歴史は浅いものの世間の評価は既に高く、南仏を代表する造り手としての地位を確固たるものにしています。
セパージュは、グルナッシュ35%、カリニャン35%、リャドナー・ペルト15%、シラー15%。より手軽なソルシエールと基礎構成内容が似通っていますが、仕立て具合や樽の使い方などからくる落ち着いた雰囲気や、その品位ある佇まいが印象的で、どことなくボルドーの格付けクラスにも通じるような立ち振る舞いが垣間みられます。
若干の過熟感など、猛暑らしい2003年の特徴が反映されていて、表層から中域における体躯はいたって柔らかく豊満でありながら、コアには突き抜ける程の強固さや凝縮感、そして痺れる程のスパイシーさを伴った厳格な表情が存在します。葡萄が本来持つ性質や打ち出された世界観はソルシエールとほぼ同じですが、全体像を見ると各要素が向かう方向が同じで、そこからくる統一感や古木らしい緻密さといった付加要素が手伝い、ワンランク上のポジションに位置しているということがひしひしと伝わってきます。
その性質上、今飲んでも十分楽しめますが、ソルシエール同様ポテンシャル系だと言えるので、余裕があればもう暫く寝かせておいた方がベターな気もします(熟成によって純粋な味の部分が開花するかは不明)。それなりの価格帯に位置しているので、純粋なコストパフォーマンスとしてはソルシエールの方に分があり、そのスタイルからしても「決して万人受けするタイプではない」とも言えますが、ソルシエールを飲んでクロ・デ・フェの世界に興味を持った人に対しては、次の更なる一歩として過不足のない優れた魅力を発揮してくれると思います。
(2008/06)