- Good Quality -
クロ・デ・フェのラインの中で最も手軽な「レ・ソルシエール」ですが、より上のレンジの世界観が垣間みれるような、ある種の「クロ・デ・フェらしい」充実した内容は未だ健在です。
ぎっしりと詰まったタンニンによる堅牢さや剛直さは従来同様ですが、より早い時期から飲めるよう意識を強めたのか、乳酸系の丸さが印象的になっていて、やや一体感に欠ける傾向にはあるものの、豊かなタンニンさえ乗り越えれば抜栓日からでもある程度楽しめる状態になっています。翌日に持ち越すとかなり表情が変化し、よりキュート系の指向性へと舵をきることで、当初の印象とは異なる意外な一面を垣間見せてくれます。3日目にもなるとかなり融和な表情になり、完全に昇華した状態の「ソルシエール像」というものを提示してくれますが、純粋なポテンシャル(可能性)を感じることで広がる「想像」というのもまたクロ・デ・フェのワインにおけるひとつの楽しみ方なので、多少バランスに難はあれど、意外と初日のスタイルの方が魅力的と言えるのかもしれません(非一般的ですが)。
以前のヴィンテージに感じた「厳しさ」は軽減傾向にあるので、結果としてかなり間口は広がっているといえますが(下のレンジらしい佇まいに多少近づいたかも?)、あくまでも結果論としてではあるものの、多少素材をコントロールしきれていない側面があるのがやや気になります。とはいえ、ポテンシャルは十分なものがあり、さらに長期熟成させたときの完成図においてはしっかり補正されてきそうな印象でもあるので、価格帯を考えると相変わらずの高クオリティワインということに違いはなさそうです(どことなく昔のテスタマッタを彷彿とさせるような謎を内包した不思議資質がネックといえるかも?)。
(2011/11)