- Good Quality -
カナダ人の「パトリック・ピウズ」が2008年に設立した歴史の浅いメゾンですが、ルフレーヴでシャブリの醸造長を勤めるなど、その経験と実力は既に十分なものが備わっているようです。
このテロワール・ド・フィエは2009年からのアイテムですが、ポジションとしては前年のテロワール・ド・フレイの代替的アイテムになるようです。どうやら2008年のフレイを飲んで気に入った有名生産者の友人に、フレイに使用するはずだった葡萄を三割り増しの値段で買い占められてしまったようで、2009年はフレイのかわりに異なる葡萄を使用したフィエとして出荷しているようです。
さすがに作柄のよかった2009年らしく、豊かで充実した内容をひしひしと感じることが出来ます。どことなく、メルローのような豊満さ、果実味、親しみやすさ、このあたりの性質に近い雰囲気を感じるのですが、それでも体躯そのものはクッキリとしていて、レモン、夏みかん、はっさくのような柑橘系の酸味や、程よいミネラルのおかげで全体のバランス感も良好です。
いたって良好で素直に楽しめる内容で、翌日に持ち越すことでキリッとした表情をより楽しむことが出来ますが、それでも全体的にはシャブリとしての良さを持つワインというよりも、パトリック・ピウズとしての良さを持つワインといった感じもするので、事前に情報を頭に入れすぎて特定のイメージを作ってしまうと、多少の違和感を覚えてしまうかもしれません。そういう意味では、むしろブラインドで挑むぐらいの方がより素直にその魅力を享受できるのかも!? ともかく、フレイよりもかなり手頃な価格になっているので、この点だけをとってもお買い得感は高いと言えそうです。
(2011/06)