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前年同様セパージュ由来の明確な表情が感じられ、相変わらずの高アルコールではあるものの(2008年は14.5%)、各要素が馴染む翌日以降であればそれほど大きな負荷にはならないと思います。印象としては、豊満で魅惑的なメルロー、重量感のあるしっかりとしたタンニンで魅せるカベルネ・ソーヴィニヨン、そして影でそれらを支える硬質かつタイトに閉まった骨格のサンジョヴェーゼ、これらのハーモニーをストレートに楽しめる内容、といったところでしょうか。
抜栓日はやや取っ付きにくく、アルコールの強さも全面に打ち出されていますが、メルローやカベルネ系の表情を主体として楽しみたい場合はボルドー系のグラスを、逆にサンジョヴェーゼのタイト感や硬質感を主に楽しみたい場合はキャンティ・クラッシコ系のグラスを、それぞれの嗜好に沿って使い分ければ、グラス2杯目ぐらいになる頃にはしっかりとした魅力を提示してくれると思います。
興味深いのが時間による変化で、翌日に持ち越すことで一気に各要素が昇華し綺麗に開花してくれます。世界観そのものの概要は2007年と同じですが、基本姿勢がより国際品種基調に推移したといった印象があり、その豊かな果実の充実感とパワーが、あくまでも「日常として飲んで楽しめる」範囲で見事な着地を披露してくれます。数日放置した場合のびくともしない堅牢さも健在で、価格も相変わらず手頃なレンジに位置しているので、ポテンシャルを兼ね備えたスーパーデイリーとしてケース買いにも適していると言えそうです。
以前よりもより幅広い層に訴求してくれそうな内容になっているので、普段あまり聞き慣れない「アッシジ」というワインに興味を持つ良いきっかけになるのではないでしょうか。
(2011/06、2013/02)