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クラッシコとは異なり、このトラリヴィオは広さ15haの単一畑から造られます。一目見て違いが分かるほど色調が濃く、その黄金色から彷彿とされるような要素の充実感や濃厚さ、そして貴腐系のワインが多少脳裏に浮かぶような複雑味や果実感など、単純に単一畑というだけではとどまらない、異なる指向性を持った世界観となっています。
体躯を構成する外郭そのものにおいては、実はクラッシコとほぼ同等同質だったりしますが、そこに込められた内容は明らかに異なり、苦み、ミネラル、酸、果実のボリュームなど、そ総量には大きな差があります。なかでもヴェルディッキオらしさ、特に苦みとミネラルは非常に強い傾向にあり、14%という高いアルコールも相まって、抜栓日はやや持て余してしまうほどのパワー&エネルギー感となっています。クラッシコとは指向性の異なるポテンシャル系の要素が強い印象ですが、翌日に持ち越すとトロミある凝縮した果実の甘味がより前に出てくるものの、それ以外の要素とのバランス感は逆に乖離してしまう傾向にあったので、兼ね備えたポテンシャルの分量に応じて多少サーブも難しくなっている印象があります。個人的にはもう暫く、余裕を持って1年程度熟成させてから、より抜栓日にピークがくるよう適度に調整するような方向性が良いのではないかと感じます。
気楽に飲めるような「楽しさ」を持っているわけではありませんが、価格帯を考えるとかなり良質な世界観を披露してくれるのは間違いないので、クラッシコと同じように高いお薦め度を誇るアイテムだと思います。良質なヴェルディッキオを飲みたいという人には特にお薦めです。
(2011/05)