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まず見た目からして「三角形ラベル」が印象的な「オー・ボン・クリマ」のワイン。この「サンタ・バーバラ・カウンティ」は、最も手頃な価格帯に位置するアイテムとなっており、ある意味「赤(ピノ・ノワール)」におけるABCスタンダードと言える存在かもしれません。
カリフォルニアの持つ果実力がベースにあるものの、思った以上にブルゴーニュを感じる仕上がりとなっており、このクラスでここまでしっかり造られていることを考えると、懐具合に困った時の「ブルゴーニュ代替」としての役割を、いたって現実的な解として提示してくれそうな印象を受けます。ザックリとしたイメージでは、解像度がACブルゴーニュ格+、骨格が村名格、果実力が1級格といった様相でもあり、それらを含めた力点バランスが抜栓後1〜2時間で見事に昇華してくれます。翌日に持ち越すと多少均衡が崩れ、収斂系の固さや粗さがやや気になる傾向にありましたが、求められるであろう場面(日常)においての水準は十分クリアしてくれているので、根本的にはそれほど大きな問題にならないと思います。
比較的近い価格帯にあるカレラの「セントラル・コースト」に見られるような「明快な甘さを基調としたスタイル」ではないので、第一印象として受けるインパクトは控えめですが、その反面、アメリカのマジョリティ指向をひたすら追求するような安易さがないというある種の安心感や、ピノ・ノワールという品種の特徴をブルゴーニュ的に考察すると、逆に日本人にとってはこちらのスタイルの方がより素直に評価できるようにも感じられます。
(2010/01)