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仄柔らかく均質な体躯にしっかりした密度感があり、黒系果実の豊かな風味とそれを支える酸がバランスよく組み込まれています。基本的には同レンジの他のコノスルと同じスタイルで、フィニッシュに儚い虚無さを内包しているものの、より魅力が明確なこともあり、この価格帯のアイテムとしてはかなり良い仕事をしているという事実が一層浮き彫りになります。カベルネ・ソーヴィニヨンよりも更にトルブレックらしさが垣間見える傾向にあり、「時代が求めるワインを今ある手駒で造りきった」という、ある種現代ワインの象徴ともえ言える内容になっています。
抜栓日の力強い腰つき感は、翌日に持ち越すことでガラッと変化し、一気に親近感ある柔らかい物腰になります。3日目になると酒質も安定し、本来美点を一層際立たせてくれますが、全体的に同レンジの他のコノスルと比較すると、このシラーは時間経過による表情の振幅加減がやや大きめと言えるかもしれません(変化の推移はあくまでもポジティブな範囲内)。
(2010/07)