- Good Quality -
ハートマークのラベルでお馴染みとなっている「カロン・セギュール」のセカンドラベルがこの「マルキ・ド・カロン」です。
好印象だった2006年とは異なり、2007年はやや難を抱えた仕上がりとなっています。抜栓直後すぐ気になったのが「中央の抜け落ち」で、しっかりした酒質を維持しようとする努力は認められるものの、大切なものが欠落してしまったような印象を受けます。さらに、全体を通じて焦げ系の苦みが先行し、未熟傾向にある構造の緩さやニュルっとした丸み、そしてその内部に仄かな青みがあり、それ以外の要素は総じて乏しい傾向にあります。
認識できる要素はあまり良くないものの、ひと世代前の「オフヴィンテージ」に漂う残念感とはやや異なり、「オフならではの楽しみ方」が十分出来るだけの内容には仕上がっています。やはり近年における技術の進化が存分に活かされていることもあってか、抜栓後1時間程度で浸透性が増し、兼ね備えたもの以上の満足感がゆっくり伝わってくるので、味覚として受け取る以上に「楽しめる」内容になっているとも言えます。
翌日に持ち越すと、体躯の適度な収束感によって中央の抜けがあまり気にならなくなり、欠点をカバーする方向へとうまく昇華が進みます。苦みとニュルっとした緩さはそのままですが、なぜか思った以上に飲み進めることが出来る、不思議な「そつのなさ」を兼ね備えているので、その内容に反してそれほど悪い印象は受けません。正直なところ、純粋な点数評価はまったく期待できず、2006年が持っていた良さも感じられないのでお薦めしにくいのですが、それでも「ボルドーらしさ(その底力と魅力)」はまだ健在な部分もあるので、選択したとしてもそれほど大きく落胆することはないのかもしれません(とはいえ「カロン」の名前に期待した場合はさすがにガッカリしそう)。
(2010/04)