- Good Quality -
ふと気がつくと「早く飲める美味しいワイン」という、まさに今の時代が求めるど真ん中のスタイルになった感のある「レ・ヴォルテ」ですが、かなり早飲みした前年とは違い、今回は1年半以上経過させてからの試飲なので、さすがに抜栓後からしっかりとした世界観を披露してくれました。
サンジョヴェーゼらしさを基軸としながらも、より分かりやすくモダンな世界観が構築され、凝縮感や安定感を伴う明確な「オルネッライアクオリティ」が具に伝わってきます。そういう意味ではこれまでのスタイルをそのまま継承したものだと言えますが、より上のレンジを感じる内容の充実感に対し、純粋な骨格力に関してはデイリープラスといったものなので(サンジョヴェーゼらしい堅牢感は十分)、日々の食事とともに楽しむ場合は非常に高い満足感が得られるものの、特別な日に嗜むということにおいてはやや力不足かもしれません。それゆえに、もう少し価格帯が下がってくれるだけでも一気にその魅力が開花しそうな印象を受けます(10%程度下がるだけでもかなり変わりそう)。
価格面(昨今の経済状況を加味)以外は納得できる内容であり、レ・ヴォルテらしい存在力は2007年も健在なので、ヴィンテージに関わらず常飲している人にとっては今回も継続してお薦めできます。逆に言うと2006年からの大幅な進化や変異は特に期待できないので、常に何らかのサプライズを求める人にとっては無理してまで選択する必要はないと思います。
(2010/03)