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ふと気がつくと「早く飲める美味しいワイン」という、まさに今の時代が求めるど真ん中のスタイルになった感のある「レ・ヴォルテ」ですが、さすがに今飲むとなるとポテンシャルをすべて引き出せない可能性もあるので、余裕があれば半年~1年程度は寝かせておきたいところです(基本早飲み派な人であれば全く問題なし)。
セパージュはサンジョヴェーゼ52%、メルロ-36%、カベルネ・ソーヴィニヨン12%。比率は若干異なるものの、大まかな品種構成は2005年とほぼ同じなので、これが今の「レ・ヴォルテスタイル」と言えるかもしれません。
現代的な造りによる安定感としっかりした抽出がみられますが、さすがに今抜栓した場合はモダン構造故のネガティブさがやや先行し、コアの密度感に反して体躯の儚さや希薄さがどうしても気になります。この傾向は特に抜栓日に強く、受ける印象として「悪くはないが2k円以下のクラスでみかけるそつのなさ」といったものを感じます。
しかし、そこは「レ・ヴォルテ」。翌日に持ち越すことで体躯密度が一定に近くなり、現代的な造りから得られるポジティブな面も徐々に発揮されはじめます。そういう意味では、決して早く飲み干さず、3日以上かけてじっくり味わって欲しいところです。
最終的には、シンプルながらもガッチリした体躯に、仄かな南国的フルーツ風味、酒精強化的な要素やトロミのあるアルコール感など、価格帯に見合うだけの要素はしっかり提示してくれると思います(良くも悪くも)。決して誰もが楽しめるような分かりやすい美味しさを持っているわけではありませんが(サンジョヴェーゼベースなだけあってやや厳格で陰的)、安定した酒質の「デイリープラスアルファ」なイタリアワインを探している人にとっては、選択肢に入れるだけの価値は十分あると思います。
(2008/06)