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女帝と呼ばれた「マリア・テレジア」の命により、この地で現当主の祖先「ヨーゼフ・アントン・マイヤー」が畑の開墾を行ったようです。歴史と伝統のある由緒正しき造り手ですが、この「コンポジション レイフ」は、カベルネ・ソーヴィニヨン80%、ラグレイン18%、プティ・ヴェルド2%と、より積極的に国際品種と土着品種のブレンドが行われています。
北のワインらしくピンと張りのある質感が骨格内の主要基幹に感じられますが、その内部には想像以上の密度と凝縮度を持った豊かな果実系ボディが存在し、その完熟果実による陽的要素が遺憾なく伝わってきます。綺麗に伸びながら収束するフィニッシュのクリーンな纏まり感など、豊満な果実要素が主体といっても南のワインとはまたひと味違う表情を見せてくれます。
2004年と比較すると、2005年はレイフに限らずどのワインも僅かに評価を落としている傾向にあるようですが、それでもさすがに上のランクのワインだけあって構成力に富んだ姿を披露してくれるので、内包するポテンシャルに関しては十分なものがあります。確かに全体的な統率感や完成度はまだ改善の余地があり、時間が経過するととともに体躯内部が多少解れやすくなる傾向にありましたが(故に別のヴィンテージも試してみたい)、それでも率先して飲むだけの価値(世界観)はあると思います。唯一のネックは、ヨーゼフ・マイヤーのワイン全般にも共通する「価格の高さ」で、もはや「ラマレイン」に匹敵するほどの価格になっていることを考えると、レイフに対してなんらかの思い入れがない限りはなかなか食指が動かないかもしれません。決して内容に見合っていないわけではありませんが、それでも純粋なコストパフォーマンスとしてはやや分が悪い傾向にあるので、他のワインとの相対的比較は避けた方が無難だと思います。
(2010/02)