- Good Quality -
カレラのスタンダードレンジに位置するピノ・ノワールです。同レンジに位置する2008年のシャルドネ以上に「甘い」仕上がりとなっており、分かりやすく楽しめる単純明快さが心地よい面もありますが、さすがに表層部分にベクトルが行き過ぎているような印象を受けます。
まさに「甘いキャンディ風味」といった全容で、文句無く抜栓後から楽しめる明快さを持っていますが、その豊満な甘味の影響もあり、時間をかけててじっくり向き合ったり、一人で何杯も飲むといった楽しみ方には向いていない傾向にあります。大勢でワイワイ言いながら1杯ずつ飲むような場面であれば大いに楽しめそうですが、伝統産地ブルゴーニュを基準としたピノ・ノワールの美点を念頭においているとネガティブな印象を受けてしまうので、このあたりの特性には要注意と言えるかもしれません。
根本的にカレラの造りを実感できるようなタイプではなく(単一クリュシリーズとは別物)、ハッキリとしたポテンシャルを感じることもありませんが、それでもターゲットを絞ったうえで敢えてこの路線を選んでいるような節もあるので、飲み手の嗜好にピンポイントでハマるかどうかが評価の分かれ目になってきそうです。ともかく、個人的にはよりポジティブになってこのスタイルを活かせる場面を飲み手が工夫してやる方が建設的だと感じるので(ある意味否定するのは簡単?)、素直にこのワインの魅力が堪能できる「ハーフボトル」の有用性というのは思いのほか高いのかもしれません。
(2010/01)