- Very Good Quality -
トゥア・リータを代表するアイテムのひとつで、イタリアにおける「ボルドースタイル」をストレートに具現化したワインとなっています。ちなみに2005年のセパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン55%、メルロー25%、カベルネ・フラン15%、プティ・ヴェルド5%。
抜栓後すぐに楽しめた2004年とはガラッと異なり、非常に強固かつ緻密に集積したタンニンやピークで張り付く酸など、真価を発揮するにはまだまだ熟成が必要なスタイルになっているのが印象的です。2005年のヴィンテージスタイルという以上の差を感じるので、セパージュ比率が2004年とほぼ同じということを考えると、もはや同じ造り手が手掛けたとは思えないほどの本質的な差異がそこにあるようにすら感じます。
収斂性や口中の乾き、そして高いアルコールからくる迫力など、長期スタンスにおけるポテンシャルはかなりのものがありますが、そういった堅牢性とはうらはらに、超重量級といったようなフルボディさや濃厚濃密さは特になく、あくまでもイタリアワインらしい全体をキッチリ引き締めるタイトな縛り(酸がポイント)が特徴的なので、今飲むにしても3日程度かけてやれば、その建築様式美の奥に存在する「人の持つ微笑み」に辿り着けると思います。陽的な指向性にはなく、剛の要素に隠れている傾向にはあるものの、それでもしっかりした果実味もあり、酸とともに打ち解けるようになればトルブレック系のワインに共通する甘酸っぱさも出てくるので、ボトルの底に溜まった泥のような澱に到達する頃には、かなりの魅力とともにその昇華力を存分に享受できるはずです。
確かに2004年の方が作柄がよい傾向にあり、万人受けする優しさ、そして豊かさや朗らかさから来る「素直な楽しさ」がそこにありますが、その反面、何不自由無く育ったかのような表情が延々続くと辟易としてしまうこともあるので、2005年が持つある種の「厳しさ」、そしてその厳しさの中から垣間見える「優しさ」、これらを感じ根底にある明確な意思を掴むことで最終的に得られるものもがより大きなものになると思います。気軽に購入できるような価格帯ではないからこそ、個人的には敢えてこの2005年をお薦めしたいところです。
(2009/12)