- Good Quality -
トゥア・リータを代表するアイテムのひとつで、イタリアにおける「ボルドースタイル」をストレートに具現化したワインとなっています。ちなみに2004年のセパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロー20%、カベルネ・フラン15%、プティ・ヴェルド5%。
抜栓直後から素直に楽しめ、5年という熟成期間から伝わるイメージ以上に表情が解れた、非常に朗らかなスタイルなのが印象的です。仕立てに上位のクラスを感じる高級感が程よく漂いますが、中身はいたって素直でマイペース。2004年らしい過不足のない要素と整ったバランス感から、多くの人が素直に楽しめるワインだと言えます。イタリアらしい表情の豊かな酸が含まれていますが、面白いことに酸味すらこの「朗らかさ」に絆されているようで、キツさや鋭さのまったくないほんわか気質になっているのでなんら無理なく飲めてしまいます。
内容や世界観にはなんら問題はなく、明確な欠点と言える箇所も特にありません。しかし、その性格(本質)はかなり独特で、何の不自由もなく育てられたかのような柔和さがベースとなっていることもあり、この価格帯やクラスに期待するような風格、威厳、明確な意志、指し示すビジョンなどが感じられず、ここぞという時には貫いて欲しいある種の「厳しさ」が欠けています。
これが現在の価格の半額ぐらいのレンジであれば手放しに喜べる内容だと言えますが(それぐらい素直に美味しい)、より上のクラスのワインであれば、単純に美味しいというだけでは終わらない「プラスアルファ」があって然るべきなので、技術的な領域を超えた部分での「何か」をつかみ取って欲しいと感じます。
(2009/04)