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短期間で一気にカンパニア、いやイタリアをも代表する地位にまで上り詰めたのが、アーティスティックなラベルでお馴染みの「モンテヴェトラーノ」です。基本セパージュはカベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロ-30%、アリアニコ10%で、国際品種がベースが基本なっているものの、思いのほかアリアニコが良いアクセントになっていると言えます。
今回の2004年は世間の評価が非常に高く、2007年度のイタリア五大ワイン誌すべてにおいて最高評価を得るという偉業を成し遂げています(五誌完全制覇はモンテヴェトラーノとガラトローナの2本のみ)。
モンテヴェトラーノらしい「美」を感じる流麗感ある佇まいが基調となり、カンパニアという地の持つ力と個性が国際品種+土着品種という構成によってうまく表現されているように感じます。以前飲んだ2001年よりも表情に一体感があり、緑系のハーブ風味もより滑らかかつ素直な魅力となって世界観の一端を担っているので、全体的な構成力に一層の磨きがかかったような印象となっています。ベースにはかなりしっかりしたタンニンが存在しますが、そのしなやかさゆえに口当たりがよく、かなり容易に飲み進めることができるので、基本的にはすぐ飲めるスタイルだと言えそうです(早くから飲め、なおかつ置いておける)。
抜栓日は多少そっけなくつかみ所の無い印象で、どちらか一方に振れるようなことの無いニュートラル気質のためか、正直なところ「どう捉えるべきか」の判断に悩みます(個性の割にインパクトに欠ける)。良質な部分を積極的に拾って評価することも出来れば、逆に不足している部分や個性のアラを指摘することも可能で、やや飲み手の嗜好や注視ポイントによって評価が分かれそうな印象ではありますが、その本質にある流麗さを引き出すようしっかり時間を与えてやれば(まずは翌日)、内部に存在するキラリと光る美点を存分に明確化し享受できると思います。
そう簡単に手が出せるような価格帯ではなく、以前よりも歩を進めてはいるものの決して万人が納得出来るような方向を向いているわけではないので、今回初めて飲むという人よりは、過去にモンテヴェトラーノを経験したことのある人の方が理解しやすい内容になっていると言えるかもしれません(同年のマルチリアーノに似たスタンスかも?)。
(2009/11)