- Recommended -
2004年のやや残念な結果がまだ脳裏に残っていましたが、今回の2005年はそのイメージを払拭してくれるだけの内容になっていました。非常に瑞々しく口当たりが柔らかかつ滑らかで、抜栓直後、最初の一口から無理なく美味しく飲むことが出来ます。14%というアルコールを感じさせない親近感もありますが、反面、内包するタンニンは膨大で、アタックの優しさから一転、フィニッシュにかけて苦みや口中の乾きなどが広がります。解けるにはかなりの時間を必要としそうですが、それでも口当たりが良いおかげでスイスイ飲めるので、特に長期の瓶熟成は必要ないと思います。
基本スタンスは2004年のものを踏襲していますが、ちょっとした匙加減や舵取りなど、誘導する道筋が少し変化するだけで一気に良くなったような印象で、「現代的テクニック」「分かりやすい美味しさ」「長期的なポテンシャル」「スペインらしさ、そしてアレハンドロ・フェルナンデスらしさ」、これらがうまくひとつの入れ物の中におさまっているような雰囲気があります(多少はっちゃけてはいますが)。
正直なところあまりバランスが良いとは言えず、破綻するようなことはないもののやや突き抜けた自由奔放さを持っているので、純粋な「点数評価」という観点においてはやや伸び悩むかもしれません。しかし、時流に乗りながらもうまく「らしさ」を披露してくれるので(2004年に感じられなかったのでなおのこと)、個人的にはその本質をしっかり評価してあげたいと感じます。
(2009/11)