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大量消費のサンジョヴェーゼ・ワインが溢れていた時代に、「サンジョヴェーゼをフレンチ・バリックで熟成させる(現在は7.5~12hlの大樽も併用)」という時代の先の先を行く手法で多くの人を驚かせたのがこの「レ・ペルゴレ・トルテ」です。ペルゴレ・トルテは「歪んだ樹形」という意味を持つ畑の名前となっていますが(トスカーナの方言)、現在では反対斜面の「モンテヴェルティーネ」でとれる葡萄も使用されています。
2003年は猛暑という困難に見舞われた年ですが、それでも2007年のガンベロ・ロッソでトレ・ビッキエーリ、ヴェロネッリでトレ・ステッレ、レスプレッソでチンクエ・ボッティリエと、イタリアの各ワイン誌で最高の評価を獲得しています。
標高425mという高い位置に畑があることも手伝い、2003年のような非常に暑い年でも緩さや過熟さといったネガティブな要素はなく、いたってスレンダーできっちりと酸が行き渡る非常に良質な内容が構築されています。感じる温度感はもはや涼しい程で、ブラインドであれば2003年と気がつかない程かもしれません。
サンジョヴェーゼらしいタイトさがうまく魅力になっているだけでなく、そこにガッチリしたタンニンやカプセルに詰め込まれた愛らしいイチゴ風味が加わり、フィニッシュにかけててじんわりと染み込む適度な旨味によって、素直に心から満足できる「微笑むような美味しさ」に満たされます。翌日以降に持ち越すと、ややザラっとしたタンニン、しっかり活きた酸、クリッとした過熟果実味などにやや距離感が生まれ、抜栓日のような訴求力がやや低下する傾向にあったので、どちらかというとテイスティング的なスタンスで細部まで掘り起こすのではなく、よりナチュラルに食事とともにこのワインの持つ表情を素直に楽しんでもらいたいと感じます。
1999年のような果実の凝縮感や力強さで勝負するタイプではなく、あくまでも繊細な表情とそこから醸し出される魅力で勝負するタイプなので、純粋な評価としてはそれほど大きく伸びることはないかもしれません。価格もかなり高価なのでおいそれと買うことも出来ませんが、それでもこのワインの持つ魅力は是非積極的に体感して欲しいと思える程のものがあるので、「オフヴィンテージならではの楽しみ方」が出来る人であればかなり高い満足感が得られると思います。
(2009/09)