- Good Quality -
ベルナール・ドラグランジュのバック・ヴィンテージ蔵出し古酒となりますが、ラベルやキャップシールといった見た目は非常に綺麗で、液面の高さやコルクの状態からしてリコンディションボトルだと思われます。
1985年は非常に素晴らしいヴィンテージとして有名ですが、このクラスのワインが果たして四半世紀の熟成に耐えられるかどうかが最大な懸念になると思います。しかし今回の1本は、リコルクによる状態の安定感&若返り、そしてその状態の良さなどから(同年のボーヌとはインポーターが異なる)、なんら問題なく兼ね備えた力や表情を発揮してくれたので、本質とは異なる付随要素での不安は特にありませんでした。
色調は薄くややオレンジがかっていますが、思いのほかしっかりした酒質で、多少の収斂さやそれなりに充実感ある表情など、とても四半世紀近く経過しているとは思えない程の若々しさを感じます。抜栓日は多少還元的な表情が強く、どことなく発酵途中の味噌(粒感のある発酵大豆?)のような風味が広がりますが、翌日に持ち越すと完全に昇華し、長期間放置した発酵蜂蜜のような甘味へと変化します。さらにアメリカンチェリーのようなクッキリ感ある果実味(やや彩度が高め)も感じられ、ブルゴーニュらしい流麗感ある姿の中に明確な表情が披露されます。3日目になるとかなり酸が増加し、酒精強化系の風味へと変化していったので、さすがにこれ以上時間をかけるのは得策ではなさそうです。
決して特筆すべき内容ではありませんが、当初のイメージ通り「長期熟成した村名ワインを低リスクで楽しみたい」というニーズにピッタリハマる内容だと言えるので、味やスタイルの好み云々といったことは度外視し、こういったポジションのアイテムを欲してるか否かで決断すれば良いと思います。
(2009/07)