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設立が1994年と歴史は浅いのですが、以前はベガ・シシリアに葡萄を売っており、設立と同時にピングスでお馴染みのピーター・シセックをコンサルタントに任命するなど、非常に良質なワインをコンスタントに生み出しています。より上位の「ネブロ」と比較すると、この「フィンカ・ビリャクレセス」は比較的導入しやすいラインに位置し、セパージュはティント・フィノ(テンプラニーリョ)86%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%、メルロー4%。熟成はフレンチオークで16ヶ月間。土着品種をベースに国際品種で補完し、現代的な造りによっていたって良質なワインを生み出しています。
落ち着いた酸味をベースに完熟葡萄の表情が加わり、十分な緻密さ、そして構造を持った、素直に楽しめる良質なワインとなっています。外骨格がキッチリ存在し、どのような場であっても安心して出すことのできる容姿を身に纏っていますが、内面には思いのほかほっこりした心持ちが感じられ、その本質に、スペインらしいテロワール由来の素直な魅力がしっかり内包されています(14%というアルコールがもう少し下がるとなお良し)。
ワインそのものが持つ気質や落ち着いた王道的世界観など、認識できる要素としてはセレッシオよりも分がある傾向にありますが、良くも悪くも「美味しく飲めるとても良質なワイン」といった内容に終わっているので、偉大なワインが持つような迫力や、黙っていても伝わってくるようなオーラや気品は兼ね備えていません(フィニッシュが結構あっさり)。決して価格帯に見合っていないわけではなく、その良さも十二分に伝わってきますが、WAの高い評価のせいか、どうしても過剰に「そのもう一歩先」を期待してしまいます。とはいえ、魅力的で良質な世界観を持っていることに違いはないので、高得点故に容易に想像できる「ありがちな煽り」が散見されたとしても、十分お薦めできる1本だと言えます。
(2009/04、2011/06)