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カベルネ・フラン40%、カベルネ・ソーヴィニヨン40%、シラー20%というブレンド比率で造られ、プラ・デ・バジェスという比較的新しいDOに属する、現代的な指向性を持つワインです。
その表情はまさにボルドー系。奥底にスペインの持つエネルギーが感じられますが、いたって整ったスタイルや落ち着いた佇まいに、ボルドーのような王道系に通じる一種の余裕が感じられます。
2003年に顕著にみられたカベルネ系のくっきりした風味は影を潜め、熟した豊かな果実と豊満な体躯による充足感が基調となり、スパイスやハーブ風味はあくまでもアクセント程度にとどまっています。傑出するような世界観ではなく、いたって現実的なワインではありますが、味覚としての美味しさ、資質を含めたポテンシャル、距離感、そしてその佇まいなど、どの要素も満遍なく満たされ、全ての面でこちらが想像する領域(2003年基準)を僅かずつながらもキッチリ上回ってくるので、その手綱捌きには素直に感服します。いたって真面目に現実を見据え、持っている駒をどの要素に割り振れば良い結果が生まれるか、素直に飲み手に楽しんでもらえるにはどうしたら良いか、このあたりを考えて構築されたかのような巧さがあるので、その姿全体を通じてはっきりとした進化が感じられます(むしろヴィンテージの恩恵かも?)。
翌日に持ち越すと、強いタンニンによる痺れや高アルコールによる昇圧感が前面に打ち出され、その位相変化によって微妙に飲みにくくなる傾向にありますが、抜栓日の魅力ある表情ありきで考えると、この本質的な堅牢さはより長期的な熟成過程においてポジティブに受け止められるので、結果的に「今飲んで良し」そして「熟成させて良し」といった指向性へと繋がります。非常に良く出来たワインだと言えますが、それでも一般的な「高得点ワイン」にみられるような資質とはやや異なり、その姿勢自体は「テラ・ヴィティス」にも相通じるような安心して飲める系譜にあるので、もしかするとこのヴィンテージを飲んだだけではあまりピンと来ないかもしれません。しかし、前年を経験した人であればその美点が明確に理解できると思うので、価格が上昇していないという事実を考えると、お買い得度はかなり向上していると思います(しっかり価格に見合った内容になっている)。
(2009/04)