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女帝と呼ばれた「マリア・テレジア」の命により、この地で現当主の祖先「ヨーゼフ・アントン・マイヤー」が畑の開墾を行ったようです。歴史と伝統のある由緒正しき造り手ですが、この「カベルネ リゼルヴァ」はその名の通り、土着品種は一切使用せず、国際品種のみで造られたワインとなっています(カベルネ・ソーヴィニヨン80%、カベルネ・フラン20%)。
カベルネらしい心地よく複雑なハーブ風味が抜栓直後から綺麗に伝わります。しかし、そこには土着品種を思わせるような佇まいが根底に流れているので、ある意味セパージュよりもテロワールの方がより明確に存在力を示していると言えます。
同じ地で造られる「サン・レオナルド」に共通する部分もありますが、全体像は似て非なると言え、品位や風格を兼ね備えた落ち着いた立ち振る舞いや、北の地らしい張りのあるクールさがその格調をより高め、全体を包む仄かな優しさや田舎っぽさが、程よく飲み手との距離感を縮めてくれます。
熟成による成長がまだまだ期待できますが、初期の飲み頃には到達しており、なおかつ現時点で既にバランスもしっかりとれているので、特に問題なく今からでも十分楽しめます(翌日に持ち越せばなお良し)。素直に完成形が思い浮かび、とても良いものを持っていることがつぶさに伝わりますが、内容を重視した場合は素直にお薦めできるものの、価格を重視した場合はお薦めしにくい傾向にあるので、懐に余裕がある人やヨーゼフ・マイヤーという造り手に特別な思い入れがある以外は、無理せずスルーしておいた方が無難かもしれません(高くても4kレンジまでであれば納得)。
(2009/03)