- Good Quality -
2004年らしいバランス感からか、思いのほか早くから楽しめるスタイルになっていますが、全体的にバロンコーレらしい質実さが不足する傾向にあり、醸し出される表情はノーマルのキャンティ・クラッシコにやや近いものを感じます。
全体を通じて香りにかなりの特徴があり、どことなく紅茶のウバを彷彿とさせるような清涼感が漂います。強いメントール香が立ちのぼるわけではありませんが、それでもアクセントになっているのは確かなので、コンディションによっては微妙に嗜好がわかれるかもしれません。
印象として、葡萄の力ではなく人の力、しかも現代的な技術ありきの指向性が色濃く反映されているように感じられ、レンテンナーノとしてのアイデンティティは伝わってくるものの、従来は下のクラスにとどまっていた製品的精練感が漂ってくることもあり、この価格帯とクラスを考えるとやや厳しい印象があります。しかし、同年のキャンティ・クラッシコと同じように、抜栓日のそっけなさは翌日以降に持ち越すことで昇華され、時間とともに明確な質実さへと推移していくので、全体としてパッケージングや本質的なポテンシャルは十分評価できると思います(3日目ぐらいまでは様子をみて欲しい印象も?)。
表面上、しっかり楽しめるだけの魅力は持っているといえますが、残念ながら本質的に一番大切な物ものを失っているようにも感じるので(ハズレボトルという類いのものとはやや違う印象)、「レンテンナーノのワイン、もしくはバロンコーレを一度体験してみたい」というニーズは概ね満たしてくれそうですが、その反面「毎年毎年、何度も繰り返し飲みたくなるワインを捜している」という人達の心は掴めないかもしれません(それでも良いワインなのは確か)。
(2009/02)