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最初の単一クリュ・キャンティと言えば、1982年にアマが「ヴィニェート・ベッラヴィスタ」を、1983年にフェルシナが「ランチャ」を、そして1985年にフォントディが「ヴィーニャ・デル・ソルボ」を造ったことがあげられます。これらはその後の「クリュ指向」という流れを作ったワイン達であり、まさに「単一畑によるキャンティ・クラッシコの礎」を築いたワイン達だとも言えます。
さすがに良い年なだけあってバランスよく整った印象で、各要素が紡ぐ表情をとっても突出した部分がなく、適度な充実感とともにとても綺麗にそつなく仕上がっています。ただし、あまりにも綺麗に纏まりすぎている傾向にあり、要となる酸も「これぞサンジョヴェーゼ」という力あるタイプではなく、どうも「ラインからはみ出すことのない優等生らしさ」が強調されて伝わってきます。
抜栓日はやや素っ気なくあっけらかんとしている部分もありますが、時間とともに程よく質実さが増し、翌日になる頃にはそれほど気にならないレベルにまで昇華してくれます。全体を通じてとにかく「普通に美味しく」飲むことができ、特に大きな不満を抱くことのない完成された世界が披露されますが、それでも心に響くような凄みを兼ね備えているわけではなく、構造体の質感に関してもやや近未来的(仄かに幾何学&無機質的)な傾向にもあるので、「95点」という世の評価を踏まえて「感動を覚えるような偉大さ」を期待すると逆に肩すかしを食らってしまうかもしれません。
必要以上にハードルをあげるとかえって損をするかもしれないので、価格帯や評価はこの際一度忘れ、無垢な気持ちで素直に向き合ってみる、というのがより良く楽しむためのポイントといえるかも!?
(2009/02)