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ブレンドワイン「エノテラ」には優れた区画の葡萄が使用され、そのセパージュはシラー75%、グルナッシュ25%となっています。シラーは樹齢27年で33hl/ha、グルナッシュは樹齢40年で40hl/ha。年間生産本数は僅か3,459本。他のアイテムとは違って新樽で12ヶ月熟成させるなど、まさにクレ・リカールを代表するに相応しいハイエンドワインとなっています。
スタイルはまさに「クレ・リカール」。ゆったりとしたたおやかな表情や、セパージュ由来のスパイス風味など、他のアイテムと同じ系譜に位置する質実な世界観となっています。異なる点と言えば、やはりなんといっても骨格力から伝わる堅牢感。やや収斂性は残っているものの、腰が重くガッシリしていることもあり、クレ・リカール共通の自然な佇まいに風格や気品がうまくプラスされています。
ハイエンドに相応しい佇まいからして、その良質さは素直に楽しめますが、他のアイテムと基本路線が同じということもあるので、立ち位置が鮮明かつ明確である反面、純粋なコストパフォーマンスとしてはやや分が悪い傾向にあります(ある意味当然ではありますが…)。同じブレンドワインの「レ・オー・ド・ミレジ」ですら千円台で購入できてしまうので、価格差を考えると初飲みでエノテラを選ぶ必要性はないとも言えますが、もし「他のラインを踏まえたうえで更に次の一歩を」ということであれば、こちらが望む理解度や満足感は十分得られると思います。
いずれにせよ、クレ・リカールのワインは下のランクから飲み始める方が楽しめるので、このエノテラはまさに締めに相応しい「最終到達地点」と言えるかもしれません。
(2008/11)