- Good Quality -
セパージュはグルナッシュ70%、シラー20%、ムールヴェードル10%。高樹齢のヴィエイユ・ヴィーニュから38hl/haと低収量で造られます。
際立つ香水のような風味と高いアルコールが極めて印象的で、高アルコールを含めたその表情の質が「果実」らしくない傾向にあり、その佇まいがどことなくアスタエのグラッパ「クオルム」を彷彿とさせます。
各要素には明確な力があり、胡椒系を思わせるスパイシーさなど、ローヌらしい表情をしっかり披露してくれますが(コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュというよりシャトーヌフっぽいかも?)、抜栓日は近寄り難い印象が非常に強く、最低でも翌日に持ち越さないと警戒する素振りを一向に緩めてくれません。さらに3日目まで待つことで、ようやく本質が露になりはじめ表情にも昇華の動きが見られますが(仄かに海苔の佃煮や醤油系の風味なども)、高アルコール主体の毅然たる物腰に変化はないので、そのスタイルやアイデンティティを肯定的に受け止められる人でないとその全てを享受することは難しいと思います。
価格以上のポテンシャルは感じられますが、その表情は決して万人向けとはいえず、ある意味「人や場所などを選ぶ傾向にあるワイン」と言えるかもしれません。
(2008/11)