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比較的マイナーな地区から高品質なワインを生み出すことで有名な、グザヴィエ・コペルが1996年に設立したネゴシアンである「プリモ・パラテューム」の「ミネルヴォワ」で、今回の1本は最高のテロワールと高樹齢の葡萄で造られる「セレクション・ミトロジア」となっています。セパージュはシラー60%、グルナッシュ20%、カリニャン20%で、年間生産本数は僅か1,800本となっています。
南仏らしいスパイシーな表情が心地よく、猛暑を感じさせない纏まり感や酸による冷ややかな質感が滑らかな舌触りを生み出し、現時点でとてもうまくバランスしています。微細かつ多量のタンニンを含有していますが、うまく周りに馴染んでいるのでそれほど気になることはないと思います。
プリモ・パラテュームらしいパワーや凝縮感も感じますが、どことなく彩度の低い落ち着いた赤系果実の雰囲気が感じられ、梅紫蘇的な風味(トルブレックなどの旨味系とは異なる風味)と熟した甘味が程よいアクセントになり、思った以上にグルナッシュとカリニャンの魅力ある表情が生かされている傾向にあります。
持っているものは同じヴィンテージのリムーと劇的な差があるわけではありませんが、インプットされる情報量に対し、アウトプットされる情報が激増する傾向にあり、味覚を超えて脳にまでコアのエネルギーが伝わります。決して圧倒的な類いのワインではありませんが、兼ね備えた魅力に抗うことは非常に困難であり、プリモ・パラテュームという造り手、そしてミネルヴォワという地の底力を否が応でも思い知る結果になります。
相変わらず生産量が少なく入手困難という側面がありますが、仮に倍の価格帯であっても普通に通用してしまう程の「存在としての力」を持っているので、見かけることがあれば各々の嗜好に関係なく積極的に試して欲しいところです。もしかすると、今までには無かった新たな発見があるかもしれません。
(2008/10)