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ふと気がつくと「早く飲める美味しいワイン」という、まさに今の時代が求めるど真ん中のスタイルになった感のある「レ・ヴォルテ」ですが、さすがに2005年は高い評価を得るだけあって、2003年にみられたような構造の弱さはなく、同じ路線ながらもより一層突き詰めてきた印象を受けます。
セパージュはサンジョヴェーゼ50%、メルロ-30%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%。サンジョヴェーゼらしさが生かされてはいるものの、まさに「ブレンドワイン」といった魅力あるハーモニー重視の仕立て具合で、いたって素直に「誰もが楽しめる」という導き具合からして、良くも悪くも「オルネッライア流の技」が感じられる、人の力ありきのワインだと言えます。しかし、決して単純な表層系ワインというわけではなく、コアからは十分「トスカーナが誇るテロワール力」が感じられるので、総じて良質な造りだと言えます。
中心付近にサンジョヴェーゼらしい堅牢感ある骨格が構築されていますが、豊かな肉厚が総じて柔らかく、角のない表層の丸さが素直な口当たりを生み出しているので、文句なく「今飲んで美味しい」スタイルに仕上がっています。近年のオルネッライア系ワインの変容具合にハマった人にとっては、ある意味「スモール・オルネッライア」として楽しめるという一面もあると思うので、多少価格が上昇傾向にありますが、それでもまだ満足できる範囲でのコストパフォーマンスは維持できていると思います。
(2007/12)