- Recommended -
1983年に日本企業のサントリーが買収したことで話題になったシャトー・ラグランジュです。グレート・ヴィンテージとなった2000年は、傑出した出来となった1986年、1990年、1996年などに比類する、過去最高レベルの出来となっているようです。
久しぶりのラグランジュですが、以前飲んだ1997年とはまるで別物といった印象です。最初の1杯こそ、それなりの佇まいで淡々と広がりますが、2杯目からは明確にその美点が開花し始めます。落ち着き払った体躯に滑らかで心地よい流麗さが加わり、時間とともに各要素の表情が露になるので、じっくり向き合う程に心地よさが増すような、心身を優しく満たしてくれる世界観となっています。
熟した果実、スパイス要素、胡桃を感じる風味、これらが渾然一体となり、そこから生み出されるたおやかな魅力がスッと手の中に収まる印象で、味覚として感じられる純粋な味を超えて、素直に心に伝わる浸透力が非常に心地よくなっています。酸が弱めなので柑橘的ではないものの、全体的に「橙色」のイメージがあり、ほのかな佇まいと柔らかい色彩が堅牢感ある体躯と相まって、過不足なく満足できる世界が構築されています。価格高騰の流れにありながらも、多くのグラン・ヴァンと比較してまだ現実的な価格帯にとどまってくれているので、コストパフォーマンスを含めて考えるとかなり良質なアイテムだと言えます。
(2008/05)