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フォントディのキャンティ・クラッシコは、パンツァーノにある自社畑の「コンカ・ドーロ」で穫れるサンジョヴェーゼで造られます。使用される葡萄は自然な栽培方法がとられ、アリエ産とトロンセ産のバリックで12ヶ月間熟成されます。
全体を通じてバランスよく、そしてそつなく構築されている印象で、今飲んでも想像以上に楽しめる、適度にほぐれた状態となっています。スタイルとしては、ストレートに「これぞキャンティ・クラッシコ!」という系譜ではなく、フォントディらしい造りがベースとなった、やや「IGT系」を感じるスタンスではありますが、豊かなタンニンが生み出す安定感に、サンジョヴェーゼらしい酸、仄かにキュートな果実味など、特に不満が出ることのない落ち着いた世界観となっています。
どのポイントも余力を持って平均点をクリアしてくれるので、些細なことには動じない優等生的指向性も感じられますが、反面、大きなインパクトがなく、質実さの割には訴求力がやや控えめな傾向にあるとも言えます。しかし、安心して向きあえることもあってか、2004年のような「まずは数年単位で様子を伺いたい」というコア向けの指向性ではないので、まだ控えめな価格上昇率を考えても、「今飲みたいキャンティ・クラッシコ」としてはベストチョイスと言えるかもしれません。
(2008/04、2009/03)