- Very Good Quality -
フォントディのキャンティ・クラッシコは、パンツァーノにある自社畑の「コンカ・ドーロ」で穫れるサンジョヴェーゼで造られます。使用される葡萄は自然な栽培方法がとられ、アリエ産とトロンセ産のバリックで12ヶ月間熟成されます。
抜栓直後から、サンジョヴェーゼとは思えない凝縮した甘みがドンと前に出てきます(体躯は細め)。非常にわかりやすい魅力ではあるものの、やや短絡的な傾向にあるので、どことなくサンジョヴェーゼの本質的な美点を消し去っているようにも感じます。しかし、翌日に持ち越すと表情は一変。徐々に痺れるような強固さが表出し始め、時間の経過とともに簡単には近づけなくなっていきます。多少ミッドがフラットで密度感に欠ける傾向にありますが、一体感が見え始める3日目になると、これまでにあったネガティブな要素が払拭され、ようやく「サンジョヴェーゼたるものかくあるべき!」といった職人気質的美点を見いだせるようになります。
まだかなり若く、状態も定まっていない段階なので、時間とともに刻一刻と表情が変化しますが、表層的には「まろやかな酒精強化系を感じる果実味」「隠しきれないサンジョヴェーゼの気質」の二本立てといった感じで、複雑さや多様性を楽しむようなスタイルではありません。そう言う意味では2004年らしくそつなく纏まった「奇麗なスタイル」だと言えますが、そのポテンシャルをすべて享受しようと思った場合、最低でも数年はセラーで寝かせておく必要があるかもしれません。決して「今は飲めない」という状態ではありませんが、「抜栓後3日後の表情が抜栓直後から繰り広げられる」というのが理想型だと感じたので、まずはケース単位で購入し、じっくり時間をかけて経年変化&成長具合を楽しんでみたい気分になります。
(2007/10)