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モンタルチーノにある自らの畑から、選りすぐりのサンジョヴェーゼを用いて造られます。トータルで4年に渡る熟成のうち、3年が伝統的なスラヴォニアン・オーク・バレルによるもので、残る1年が瓶熟となっています。
基本的な指向性はコル・ドルチャのブルネッロと概ね同系統ですが、より緻密さや堅牢さを感じる整った造りなのが印象的で、サンジョヴェーゼらしい心地よい酸味の表現や、キャンティ系とはひと味違うガッチリした体躯とのハーモニーが素直に楽しめます。抜栓初日は酸が主体となっていましたが、翌日に持ち越すことでキュートな果実味が花開いてくれる傾向にあったので(このあたりもコル・ドルチャと同じ)、質実さよりも分かりやすい美味しさを重視する場合は、時間をかけてじっくり向きえば良いと思います。
インパクト勝負の派手なスタイルではありませんが、それ故にフレンチ・バリックの新樽風味一辺倒(濃厚バニラ風味)といった厚化粧系のワインでは決して味わえない、落ち着いたバランス感覚や素直な美点をつぶさに享受できるので、ブルネッロの魅力をストレートに楽しみたい人にはお薦めです。例のごとく「手頃とは言えない価格」の問題もありますが、こういう地に足の着いた立ち振る舞いをしてくれるワインにはそれ相応の役割があるので、己の世界観や視野を広げるためにも、濃厚凝縮系のワインに飲み疲れている人ほど試してみる価値があると言えます。
(2008/02)