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平均樹齢4年で年間1万2千本といったあたりは「ルイット・オーラ」と同じですが(まだまだこれからのワイン)、メルロー80%、カベルネ・ソーヴィニヨン&カベルネ・フラン15%、プティ・ヴェルド5%という、ひと味違った構成比率で造られ、抜栓直後から漂う「色気ムンムン」の香りからしても、全く別スタイルのワインだということが伝わります。
とにかく印象的なのが「甘さ」で、ダレなく締まってはいるものの、過熟的な要素が色濃く、全体を通してプルーンや駄菓子のラムネ的風味が漂います(要するにカザマッタ的スタイル)。体躯はそれほど大柄ではなく、そつのない堅牢性を持った良質なものではありますが、熟した果実味があまりにも強いので、アメリカ市場を意識したかのような「インパクト勝負」に走った感があります(1杯飲めばそれで十分)。
国際市場ですぐさま競争力を発揮しようとすると、多少の弊害には目を瞑る必要があるのかもしれませんが、誰にでもわかる甘い魅惑を持ち得た反面、この手のスタイルのワインは総じて「どれを飲んでも同じ味」になる傾向が強く、とにかく早く飲めてしまうこともあり、そのワインの本質やテロワール力といった要素が素直に感じられることは稀です。同系統のワインと同じように、抜栓後数日程度放置することで、派手でギラついた要素が削がれ、それなりにコアの資質が垣間みれるようにはなりますが、それでもやはり「過熟果実主体」のスタイルであることに変わりはないので、ある意味「とっとと飲む」か「完全に熟れきるまでセラーで放置」か、どちらかを選択するしかないのかもしれません。
己の身の丈では決して届かない遥か彼方を目指し、一点集中で猪突猛進したかのようなスタイルなので、ある意味半歩程道を外れかけているような印象も受けますが、その方向性はともかく兼ね備えたエネルギー量はかなりのものなので、最終的には飲み手がどの部分を重視するかによって評価が二極化しそうな気がします(点数評価としてはそれなりに高いものを得そうですが…)。個人的には、常識的かつ現実的な範囲の立ち位置におさまったルイット・オーラの方が遥かに好印象で、レヴィア・グラヴィアの約半額という価格帯を考慮しても、目に見える世間の点数評価に惑わされない必要があると強く感じます。しかし、レヴィア・グラヴィアも決して悪いワインではなく、あざとさはあっても美味しく飲めることに間違いはないので、「エレガントで気品あるボルゲリらしさ」さえ求めなければ、価格相応の満足感は得られると思います。
(2008/02)