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レ・マッキオーレが造るサンジョヴェーゼベースのワインですが、この2003年がラストヴィンテージとなっており、文字通り「ウルティマ・アンナータ(最後の年)」と名付けられています。ちなみにこのヴィンテージのセパージュは、サンジョヴェーゼ70%、メルロー20%、カベルネ・フラン5%となっています。
マッキオーレと言えば「ゴリゴリのタンニン」というイメージがあり、サンジョヴェーゼの厳格さが際立った「時間のかかるワイン」なので、ラインアップの中では最も手軽なアイテムでありながらも、やや近寄り難い雰囲気を醸し出しているとも言えます。しかし、今回の2003年はそのヴィンテージの特徴か、もしくは思いのほか多くブレンドされたメルローの効果か、想像していたよりも「飲める」状態にあるのが印象的です。
抜栓当初は「これぞマッキオーレ」と言える程の重く固いタンニンの粒子に攻め込まれますが、その重厚なタンニンの層を突き進んでコア近くまで赴くと、そこには想像以上に丸くクリーンな果実味が存在し、到達するとともに加速度的に開放に向かいます。
30分~1時間程度あれば甘味がハッキリ感じられるまでに昇華し、翌日に持ち越すぐらいであればタンニンの厳しさよりも果実味の方が印象的になる傾向にはあります。とはいえ、タンニンは豊富であり、果実も表層が柔らかくやや奇麗すぎる傾向にあるので(ある意味2003年的?)、兼ね備えたポテンシャルを全開まで引き出すのではなく、一歩引いたポジションでとどめ、懐の余韻を感じる程度の距離感の方が、より一層の凄みを感じるかもしれません。
指し示す方向としては若干シンプルですが、文句なく素直に美味しく飲める上にポテンシャルも十分なので、まさに最後の年にふさわしい充実した内容だと言えます。この価格帯であっても決して上位ワインに引けを取らないだけのエネルギーを兼ね備えているので、レ・マッキオーレが造るワインの中ではある意味「最強のコストパフォーマンスとポテンシャルを誇るアイテム」と言えるかもしれませんが、まずはその役目が終わるのを見届け、翌年から新たに生まれ変わる「ボルゲリ・ロッソ」に期待することにしましょう。
(2008/02)