- Good Quality -
これまではサンジョヴェーゼをベースに、トスカーナIGTとして造られていましたが、この2004年からは複数の葡萄をブレンドしたボルゲリDOCとして新たに生まれ変わっています。気になる2004年のセパージュは、メルロー40%、サンジョヴェーゼ30%、カベルネ・フラン30%。これまでとは違い、3種類の葡萄がほぼ均等にブレンドされているのが印象的です。
1口目からハッキリ分かる程、従来とは全く異なるスタイルのワインになっていて、まさに「別コンセプト&別スタイル」のまったく新しいアイテムだと言えます。より早くから飲めるよう舵を切られた印象があり、若干現代的醸造スタイルによる独特のクセが感じられる傾向にあるものの、従来印象的だった「強固なタンニン」がかなり控えめになり、フレッシュな溌剌さやメルローらしい柔らかい口当たりが表立っているので、より気軽に飲める立ち位置へと劇的に変化したと言えます。
サンジョヴェーゼらしいタイトで強固な性質はコアに位置し、中層から表層にかけて、メルローらしい豊満で軟質な体躯がそれを覆っています。程よいアクセントとして青緑系の要素が心地よく漂いますが、良い意味で30%もカベルネ・フランがブレンドされているような印象がないので(ヘンなクセがない)、「自分の畑に最適なのはカベルネ・フラン」という故エウジェニオ・カンポルニの言葉には説得力を感じます(2004年のパレオにはかなり期待!)。
口当たりが良くなって飲みやすくなった反面、時間の経過とともに緩さや脆さが感じられるようになり(と言ってもコアに堅牢感があるので実際に崩れることはない)、従来兼ね備えていた質実さや品格あるポテンシャルは大きく影を潜めています。このあたりは飲み手の嗜好によってかなり評価が分かれそうですが、新たに得るものがあれば、かわりに失うものもある、というのはある意味当然の結果なので、ここは新生ボルゲリ・ロッソの誕生を素直に祝い、その新たな魅力を存分に享受する方がより幸せになれるのではないか、と感じます。
(2008/02)