- Good Quality -
ボルドー大学デュブルデュー研究所とのプロジェクトで造り出した、甲州の隠れたポテンシャルを引き出すこれまでにないワイン。生産地域は山梨県、熟成はステンレスタンクで4ヶ月、生産本数は約2万5千本。
技術指導を行った富永敬俊博士の存在や、その「きいろ香」という名前からして、甲州の持つ香りを存分に引き出すような「ピンポイント的スタイル」だと想像していたのですが、実際には一部分を突出させたようなものではなく、全体を広く見渡した上ですべてがうまく調和するよう、独自性と完成度の両立を試みる適度なバランス感覚を持ったスタイルになっていました。
色は薄く、落ち着いた体躯サイズに甲州らしいスッキリしたピュア感が印象的で、程よい柑橘系酸味、柔らかい仄かな果実味、酵母的でナッティな風味、サラリとしながらも適度に粘度を感じるオイリーさなど、想像以上の多様性を垣間見せてくれます。魅力自体はシンプルで分かりやすいものの、決して単調ではないので、翌日に持ち越しても問題なく美点が輝き続けてくれると思います。
同じヴィンテージの「キュヴェ・デュブルデュー」とは目指す方向性がやや異なりますが、ともにカッティングエッジな甲州ワインであり、純粋に甲州という葡萄品種が持つ魅力を引き出した上で独自性を発揮する、というスタンスにおいては共通する部分があるので、両者の飲み比べは非常に有意義なものだと感じます。
(2008/01)