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ジュヴレ・シャンベルタンに居を構えるパカレの、いわばスタンダードとも言える基本アイテムと言えるのが、この村名ジュヴレ・シャンベルタン(2002年は古木のヴィエイユ・ヴィーニュ)かもしれません。
産地がどうとかいう違い以上に、ペルナン・ヴェルジュレスとは異なる領域での力量や威風を抜栓直後から具に感じます。とはいえ、体躯や解像度はいたって村名レベルで、そのサラリとした佇まいや奇麗に整った容姿から、味覚として認識する上では特別「美味しい」と言えるような指向性ではありません。印象的なのは、仄甘い優しい果実味や、体に染み渡る旨味の塊で、昆布や鰹の出し汁といった滋味系の旨味に親しみ深い日本人にとっては、頭で考えるより前に、その美点を素直に享受できると思います。
ペルナン・ヴェルジュレスほどではないものの、それでも僅かに漬物汁風味が感じられるので、多少ネガティブな印象もありますが、それ以外の要素があまりにも魅力的なので、最終的には特別気にならなくなります。現状では、抜栓日に「清楚な優しさや可憐さ(纏った衣の美)」が感じられ、翌日以降に持ち越すことで「ワインとしての本質(余分なものを脱ぎさった姿)」が露になる傾向にあるので、純粋に楽しむ場合は抜栓日を、テイスティング的な観点で理解度を高めたい場合は翌日以降を、それぞれ刮目するポイントを自由に振り分ければ良いと思います。もともと味がたっぷり乗った系統ではないので、時間とともに素っ気ない表情が幅を利かせるようになりますが、力は弱くとも、その中にもまだ見いだせるものが存在すると思うので、よりポジティブな姿勢で向き合った方が幸せになれると思います。
巷では「終わりかけているので、できるだけ早く飲む必要あり」という噂もチラホラ聞こえますが、今回試飲した1本の印象だと「経年に見合った想像通りの熟成具合」といった範疇におさまるもので、総じてまだまだ熟成可能な状態でした。自然派故に「保管がシビア」「ヘタレボトルの出現率が高い(?)」という懸念もあるので多少のリスクは伴いますが、それほど焦って飲んでしまう必要は無いと思います。とはいえ、全体的には「早飲みしようが熟成させようが本質的には変わらない」という印象があり、いつ飲もうがその魅力は健在ながら、分からない人には最後まで分からないといった性質でもあるので(純粋な点数評価はあまり望めない(ワイナート相応)ので注意が必要)、体験する価値はあれど万人向けとするにはやや敷居が高いとも感じます(価格の問題もあるので…)。
(2007/12)