- Good Quality -
抜栓直後の印象はまさに「2001年のペルナン・ヴェルジュレスとほぼ同じ世界観で、半歩~1歩ほど堅牢感と質実さが増している」という程度の印象でした。2001年程ではないものの、いかにもビオ的といった独特の漬物汁風味が感じられることもあり、せんべい布団を思わす華奢な体躯と相まって、ネガティブな要素に目がいきやすい「あまり楽しくない(あえて良く言うと「古き良き…」的)」ワインだと感じます。
前年同様イマイチ(それなり)かと思いきや、抜栓2日目にして予想を裏切る転機が訪れます。陰鬱な表情の奥から、優しく愛しい果実の可憐さが垣間見え始め、時間とともに徐々に指向性が変化していきます。3日目になると「これぞまさにパカレ!」と言える旨味が表出し、キラキラと輝くような旨味の結晶美が否が応でも伝わります。
最後の1杯を飲み干す頃にはかなりの満足感があり、この旨味美はまさに「体感する価値あり」と言えますが、最初と最後の表情があまりにも違うのに加え、その美点にたどり着くまでに多くの道のりを必要とするので、この性質をひとつの「ストーリー」とポジティブに捉えることができるかどうかで、最終的な評価が分かれそうな気がします。
万人向けなワインではなく、パカレのラインアップの中でも若干微妙なポジションに位置しているようにも感じられるので(価格帯を考えるとなおさら)、このアイテムを選択するポイントがなかなか見つかりにくいのですが、一般的なワインには無い「存在としての絶対力」を有しているのは紛れもない事実なので、純粋な存在価値そのものはかなり高いと感じます。
(2007/12)