- Good Quality -
2002年に引き続いて2003年も、最終テイスティングで一定の水準に達しなかった樽をセカンドに格落ちさせる「グリッリ・デル・テスタマッタ」が造られています。
素直に楽しめる美味しいワインだった2002年とは180度異なり、2003年は現時点でかなり若く、収斂系の要素を主体とし、常に粗さが目立つ厳めしいスタイルになっています。相変わらずの「超抽出系」といった印象で、現代的な醸造法によってキッチリ仕上がってはいるものの、表情が画一的でギスギスしており(若いということを差し置いてもやや微妙)、なにより飲んでいて「楽しくない」のであまり食指が動きません。
やや細身のキャンティ・クラッシコ系グラス(416/15など)を使用すると、サンジョヴェーゼのスレンダーなボディや伸びる酸、そしてテスタマッタらしい強固なタンニンが存分に打ち出されるので気がつきにくいのですが、大柄なボルドー系グラス(416/0など)を使用して各要素間を広げてやると、強く打ち出された主要要素と対照的に、肝心の体躯中央のエネルギー不足や密度不足など、虚無感とともに「かなり端的な表層先行ワイン」ということがつぶさに伝わってきます。
抽出の強さとともに、かなり時間がかかる系統だということが伺い知れますが(まだ数年~は寝かせておいた方が無難)、欠落した要素を考慮すると、総じて「うまく昇華し奇麗に成長するか謎」という気分になります。しかし、それでも抜栓後3日ほど経過させると意外な質実さを急に見せ、案の定「本当に同じワイン!?」と頭を捻りたくなるような瞬間にも遭遇するので、他のビービー・グラーツ系ワインに見られるような「結局は浅いのか深いのかよくわからない」といった所に行き着きます。
スタイルの変化なのか、それともヴィンテージの影響なのか、まだ歴史の浅いワインなので不確定要素が多すぎますが、それでも根本的な問題として「価格が高すぎるのでコストパフォーマンスはかなり低い」という現実にぶち当たるので、ブランドワインとしての副次的要素を楽しめる人でなければ、積極的に選ぶだけの価値はないのかもしれません(2002年が美味しかっただけに残念)。
(2007/11)