- Recommended -
2002年といえば不作のヴィンテージですが、この2002年からテスタマッタのセカンドラベルとして「グリッリ・デル・テスタマッタ」が誕生しました。
通常セカンドラベルといえば、若木ベースであったり、テロワールに劣る区画だったり、ファーストラベルとは異なる指向性を持ったワインになることが多いのですが、このグリッリに関しては、最後の瓶詰め直前まではテスタマッタとまったく同様に造られ、最終テイスティングで一定の水準に達しなかった樽をセカンドに格落ちさせるという手法で造られています。この年のテスタマッタが7,000本なのに対し、グリッリは14,000本となっているので、思いのほかしっかりした選別が行われた印象を受けます。
セパージュは、サンジョヴェーゼ70%、コロリーノ15%、カナイオーロ12%、モスカート・ネーロとマルヴァジア・ネーラが3%。フレンチオークのバリックで15ヶ月間熟成されます。造りとしては「テスタマッタ」と名乗れるだけのものでありながら、セカンドに格落ちさせていることによってファーストの半額まで価格が抑えられているので、ビービー・グラーツ系のワインが好きな人にとっては有り難いアイテムだと言えます。
最初の一口目の印象はまさに「テスタマッタ」。凝縮感がありながらもスッと落ち着きのある体躯に、やや大人しくスッキリ整ったフィニッシュなどなど…。通常のテスタマッタよりも近づきやすい優しさと親近感がありますが、パワーや凝縮感重視ではないだけに、程よく身の丈にあった佇まいが感じられる「素直に楽しめる美味しいワイン」だと言えます。
ある意味、2002年というヴィンテージの影響が良い方向に作用したともいえ、サンジョヴェーゼらしさが感じられる綺麗な酸味にスポットが当たり、それを補完するよう煮詰めた梅仁丹的果実味が脇を添えているので、結果的に「単に濃ければ良いというものではない」という指向性が垣間みれます。飲み手にとっては有り難いことですが、体躯は強固ながらもかなりわかりやすく飲めるので、下手すればファーストラベルよりも美味しく飲めてしまうかもしれません。
テスタマッタの半額とはいえ、相変わらず高価な「ブランドワイン」なのは間違いないので、もう少し価格が抑えられれば…というのが本音です。美味しいのは確かですが、コストパフォーマンスを重視すると3K~4Kレンジで「妥当」、2K~3Kレンジで「買い」という印象だったので、もう少しこの部分が改善されることを望みます。
(2006/11)