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自社畑の葡萄で造られるカステッロ・ディ・ブローリオとは異なり、カザルフェッロは買い葡萄で造られるネゴシアン系のワインとなっています。真のグラン・ヴァンを目指すカステッロ・ディ・ブローリオとは異なり、カザルフェッロの方はあくまでも「常人向け」と言われています。
優良なヴィンテージらしく、各要素に過不足がなくしっかりした酒質が構築されていますが、例年よりも若干ポテンシャル系に推移し、基幹となる酸味をベースにカザルフェッロらしい味付けがなされています。やや熟れた樽風味に胡椒等のスパイス風味も加わり、全体的にはうまくバランスしているものの、逆に程よく纏まりすぎた感もあるので、良く出来た印象とともにこぢんまりとした印象も同時に受けてしまいます。
美味しく飲めるスタイルではあるものの、わかりやすい果実味で押す系統ではなく、あくまでも「良質の素材を人の手でしっかり調理した」という傾向にあるので、ある意味「カザルフェッロらしい明確な美味しさ」を半歩飛び越え「カステッロ・ディ・ブローリオの明確な威厳と風格」に少し近づいたような気もします。ただ、近寄り方が若干中途半端なので、従来のカザルフェッロファンにとっては痛し痒しというところかもしれません。
(2007/11)