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安定した酒質を誇るオールド・ヴィンテージながら、懐に優しい日常価格帯を維持してくれる有り難い造り手が「パラシオ・デ・アルガンサ」です。
以前飲んだ1987年とはスタイルが異なり、コアの硬質感が印象的でまだまだ若さを感じる状態となっています。現状では収斂要素も残っており、抜栓直後からこれらが心地よくほぐれるには後5年~ぐらいは必要かもしれません。そういう意味では、まだ各資質が中心部に潜んでいる状態のポテンシャル系ワインだとも言えます(少なくとも1987年のようなキュートさはない)。
やや細身ながらも整然とした印象があり、固さと強さの中にも明確な道筋を感じます。古酒的な風味はまだまだ感じられないので、オールド派にはやや物足りない傾向にあるかもしれませんが、1987年よりも質実でグッと懐の堅牢感が向上しているので、より長期的なスタンスで捉えた場合には特有の美点を感じられると思います。
酒質の堅牢感が向上したが故に、やや難易度が高く、より内向的な傾向にありますが、価格帯を考慮すると間違いなくお薦めできるオールド・ヴィンテージだと言えます。今飲むのであれば「1987年の方が素直に楽しめそう」という傾向にあるのも事実ですが、根本的なスタイルがやや異なるので、性格の違いをポジティブに受け止めた上で両者を飲み比べてみると、より興味深い結果が得られるかもしれません。
(2006/11)