- Good Quality -
前年まではトゥア・リータ氏の娘婿である「ステファノ・フラスコッラ」の名で出ていましたが(ボトリングはトゥア・リータ)、今回のヴィンテージからはトゥア・リータのワインとして出荷されているようです。
2004年は従来のカベルネ・ソーヴィニヨンにかわってシラーがブレンドされ、セパージュ比率はサンジョヴェーゼ60%、メルロ-30%、シラ-10%となっています。
前年の印象とはかなり異なり、今飲んですぐに楽しめるスタイルになっているので素直に驚きました。とはいえ、より現代的醸造指向に強い印象があり、凝縮感とフレッシュさの共存というスタイルから生じる独特のアフター感が、どことなくビービー・グラーツの作る「カザマッタ」を思い起こさせます。最近、こういう指向性(ある意味「力技」的スタイル?)のワインをちらほら見かけますが、個人的にはやや疑問を感じる瞬間もあるので、どうしても複雑な心境になってしまいます(メリットとデメリットの両方がハッキリしている)。
翌日に持ち越すと、熟れが進んで良質な面が前面に打ち出されていきます。時間を与え、あるリミットを超えることで良質な要素が一気に開花しますが、こういうところもカザマッタと同様なので、おそらく造り手によってコントロールされた「性格&資質」なのだと思います。表層的には十分楽しめますが、良質な表情と凝縮感の裏側には、脆さや儚さを持った緩い体質が見え隠れしているので、体躯における安定感にやや欠ける印象となっています。
(2006/10)