- Very Good Quality -
ラ・モッラ村にある「チェレクイオ」の畑から造られる、実質的にはバローロと言えるワインです。チェレクイオはカンヌビと並ぶ程のクリュであり、真のバローロを体現できるテロワールを持っていると言えます。
ガヤが1995年に購入した畑(マレンゴ・マレンダ農園)ではありますが、1995年は雹の被害を受けたことで生産することができず、今回試飲した1996年がファースト・ヴィンテージとなります。チェレクイオの畑は改植が進められているので、ガヤラベルのコンテイザは樹齢の低い若木(樹齢12年)から造られるワインとなります。逆に樹齢が高い区画からは、グロミスラベルで「コンテイザ・チェレクイオ」という名が刻まれたバローロとして出荷されます。
抜栓直後はピリッとくる力強いタンニンとオークの力が全面的に誇示され、全体的な体躯の細さが気になります。しかし、デキャンタで30分程度経過した頃には少し表情が柔らかくなり、果実の力が徐々に表出してきます。その後2~3時間経過させることで素直に開き、最終的にはその魅力を十分に堪能することができました。数時間経過して「初めてスタートラインに立った」という印象もあったので、欲を言えばもっと時間をかけてたっぷり飲んでみたいというのが本音です(最後の一杯を飲むのが惜しい程でした)。
アタックに黒系果実の優雅な甘みが染み渡り、その後はネッビオーロらしい綺麗な酸、芯が全くぶれない強靭なタンニンなどが広がります。線は比較的細めでアフターも若干フラットな印象がありますが、現段階でこれだけ素直な表情、絶対的な安定感、そして説得力と、偉大なワインに必要な条件を兼ね備えているのことに驚かされます。このまま順調に育成が進むと、十分な樹齢に達した時が非常に楽しみです。そして、その安定感のある世界観を程よく補完しているのが香り。広がり自体はあまりありませんが、水をしっかり含んだ泥土、クリーム、革、胡椒、枯葉など、1点に様々な要素が絡み合って独自のアイデンティティを生み出しています。これら各要素の積み重ねがボディブローのように体に染み渡り、時間が経てば経つ程、その魅力の虜となっていきます。この秘めたるエネルギー感は、どことなく1975年のラトゥールが持つ世界観を彷彿させられます。とはいえ、純粋にはワイン単体で勝負するようなタイプではなく、あくまでも料理と共に味わうことでトータルでの満足感が数倍にもなるという、ワイン本来の役割を根幹から理解し表現したようなスタイルになっています。
樹齢が低いのでまだ真の力を発揮しているとは言えませんが、アンジェロ自らが認める程のポテンシャルを秘めていることや、これが記念すべきファースト・ヴィンテージであることを考えると、相対的なコストパフォーマンスは思いのほか高いと言えるのではないでしょうか。
※今回試飲したのは現地流通ボトルとなっています
(2004/01)