- Good Quality -
ソシアンド・マレと同じオー・メドックでクリュ・ブルジョワのシャトー・フォール・ド・ヴォバンです。AOCとしてはオー・メドックになっていますが、実際にはサン・ジュリアンとマルゴーの間にあるキュサックのワインで、セパージュはメルロー60%にカベルネ・ソーヴィニヨン40%となっています。年間生産量が500ケース前後とかなり少ない上、蔵出しで見た目の状態もかなり良い古酒なのですが、シャトー・グレイサックと同じように手頃な価格で販売されているので、純粋なコストパフォーマンスはかなり高いと思います。
シャトー・マルゴーと同じ日に飲んだこともあって、状況的にはかなり厳しい立場に立たされていたのですが、真っ向勝負を避け料理との相性などをある程度考えてやると、そこそのポテンシャルと世界観は発揮してくれます。色は少し薄めですが、25年経過しているわりにはしっかりとした色調で、ボディも細めながらぶれの少ない良質なものとなっています。ただし、強めの酸と苦みが収斂さを生み出すこともあるので、全体的なバランス面と統一感の低さが少し気になります。
ワイン単体として勝負するには少し厳しい部分があるのも事実ですが、あくまでも「料理と共に楽しむ」という本来の役割に徹した場合、この価格帯で手に入る古酒としては貴重な存在と言えるかもしれません。そういった本質部分を理解して飲んでやれば、思った以上の満足感が得られると思います。
(2003/11)