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プリューレ・ロックの醸造長を長年務めたことや、マルセル・ラピエールの甥としても有名なフィリップ・パカレのヴァン・ド・プリムールです。DRCの誘いを断り、自分の追い求める道を選んだパカレ。そんな彼の想いが込められたファースト・ヴィンテージとなるボジョレーだけに(生産するのは15年ぶり)、何かと話題だけが先行している状態だとは思いますが、それでもなお期待が大きく膨らむというのが素直な気持ちです。
一口飲んだ瞬間から既に「これは明らかに違う」と思わせる程、クリアで綺麗で素直な酒質をストレートに表してくれます。頭に焼き付いたボジョレー・ヌーヴォーのイメージが見事に吹き飛び、素直に葡萄の魅力に引き込まれます。想像以上に色が濃く(濾過してないので底の方は特に濃い)、クリアな印象を保ちながらも凝縮感をこれだけ維持しているのに驚かされます。歪みがまったくなく青臭さもほとんど感じられないので、とてもガメイだけで造られているとは思えません。ボジョレーでこれだけのポテンシャルを引き出すのであれば、コート・ドールのワインとなるといったいどうなってしまうのでしょうか…。村名ワイン(できればジュヴレ・シャンベルタン)でいいので一度味わってみたいところです。
今回のワインは、純粋な味そのものを舌で受け取るようなタイプではなく、兼ね備えた本来の資質を脳で感じるようなタイプだと思います。飲み終わった後、久しぶりに「もう1本欲しい」と思うほどだったので、多少価格は高めですが満足度は高く、飲む価値は大いにあると思います。
(2003/11)