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自社畑の葡萄で造られるカステッロ・ディ・ブローリオとは異なり、カザルフェッロは買い葡萄で造られるネゴシアン系のワインとなっています。真のグラン・ヴァンを目指すカステッロ・ディ・ブローリオとは異なり、あくまでも「常人向け」と言われるカザルフェッロですが、セパージュはサンジョヴェーゼ80%、メルロー20%となっており、カステッロ・ディ・ブローリオよりも1歩身近な印象を受けます。
ミドルレンジからハイエンドにまで渡る酸が特徴的で、このサンジョヴェーゼ的な酸を程よい落としどころに導くために、樽的要素やバニラ風味を効果的に組み込んでいるような印象です。抜栓日はやや細身で酸が主体のワインでしたが、翌日にはより一層バニラ風味が広がり全体を支える構造維持力をはっきりと感じることができました。アタックの印象は比較的カステッロ・ディ・ブローリオに近いものがあるので、このあたりは「リカーゾリ的な仕立て」から生み出される表情なのかもしれません。トータルで見るとそれほど重厚なタイプではなく、あくまでも高貴な血筋を感じさせるパッケージング力で勝負するタイプのワインだと思います。血筋は同じながら、目指す方向がカステッロ・ディ・ブローリオと異なるということは、実際に両者を飲めば明らかになるとは思いますが、どちらも同価格帯のワインなので、どうしてもカザルフェッロには目が行きにくいかもしれません。しかし、自らの意思で現在のポジションに位置しているであろうその姿は、大いなる安定感と説得力を持って飲み手の前に表れます。そういった意味では、思った以上に高い満足度が得られるワインだと言えます。
(2003/11)