- Good Quality -
抜栓直後は果実の力を感じさせる華やかな香りが一面に広がったのですが、デキャンタで3時間程経過する間に急速に衰えてしまいました。
当初は力強いタンニンに対して程よい酸と果実の香りが真っ向から対峙し、秘めたるポテンシャルの凄さを垣間みせられたのですが、一度落ち着いてしまうと果実味が完全に衰え、抜けたような酸と足を引っ張るタンニンが全体を覆ってしまいます。ボディはしっかりしているものの全体的な印象がやや細めで微妙な酸が全体を漂っているので、評価を下すのは微妙かもしれません。
当初の雰囲気では1975年のラトゥールに迫る印象だっただけに、その後の落差が残念でなりません。しかし、そこから更に数時間落ち着かせると、古酒らしい優しさを程よく見せ始めるので、浮ついた酸さえ昇華させられれば美味しく飲む事は十分に可能です。
まだ数年は持ちこたえそうなポテンシャルは感じるものの、「絶対的なバランスの問題」という、1975年ヴィンテージが抱える最大の問題をそのまま露呈した内容だと言えそうです。
(2002/11)