- Good Quality -
シャルドネの聖地とも言えるコート・デ・ブランの「ル・メニル・シュール・オジェ」に居を構えるレコルタン・マニピュランが「アンドレ・ロベール」。名前からも想像出来るように、ブラン・ド・ブランの一流生産者でもある「アラン・ロベール」とは親戚関係にあります。
「レ・ジャルダン・デュ・メニル」には、ドザージュが3g/lのエクストラ・ブリュットと、0g/lのブリュット・ナチュールがありますが、今回試飲するのはリキュールを一切添加しないノン・ドゼとなるブリュット・ナチュールになります。畑はもちろんグラン・クリュのル・メニル・シュール・オジェ。そしてシャルドネ100%のブラン・ド・ブランになりますが、今回のロットは60%が2018年の「レ・ミュゼット」と「レ・オー・ダイユラン」という2つのリュー・ディで構成され(フレンチオークバリックを使用)、残りの40%が2013年のリサーヴ・ワインになります(ステンレスタンクを使用)。シュール・リーの状態で10ヶ月間熟成され、そこからさらに瓶内熟成が32ヶ月間行われます。ちなみにデゴルジュマンは2023年の12月。
ル・メニル・シュール・オジェで造られるブラン・ド・ブランと言えば、屈強なミネラルやシャープなキレを生かした威厳あるスタイルを想像するかもしれませんが、実際に受ける印象はむしろ逆で、程よいキレやミネラルは確かに感じられるものの、それでも思った以上に口当たりが良く、どちらかと言うとクラマンのような陽的なニュアンスを幾分内包するかのような、シトラス系の風味を感じる心地よいバランス感で構築されているのが特徴でもあります。ただですら厳格なスタイルが生まれやすいエリアな上に、加えてドザージュを一切行わないとなると、かなり尖ったスタイルになるんじゃないかと言う懸念も生まれますが、良くも悪くもその想像を裏切る、万人受けするバランスの取れた王道的な方向で仕上げられているので、特別シャンパーニュに対する知識を持っていなくてもその良さを素直に受け取れると言うメリットがあります。ただその反面、テロワールをストレートに生かした厳しいスタイル(飲み頃になるまで長い時間を必要とするようなスタイル)を望む層にとってはやや物足りない部分があるのかも知れません。とはいえ、全体像は非常に良好で終始心地よく飲み進めることができるので、価格的な問題さえクリアできれば、積極的にお勧めできる非常にポジティブな仕上がりになっているのは確かです。
(2025/04)