- Good Quality -
ジャック・セロスで修行し、ヴェット・エ・ソルベでビオディナミを実施するシャンパーニュを造る「ベルトラン・ゴトロ」と、ムルソーのジャン・フィリップ・フィシェで学んだ「ブノワ・ドゥソ」が共同で2015年に立ち上げたジョイント・ベンチャーが「クランデスタン」。コート・デ・バールのテロワールを表現するために、単一品種(有機栽培)、単一ヴィンテージ、ノン・ドザージュにこだわっています。
今回試飲した「ボレアル」は、北向き斜面で栽培されるピノ・ノワールから造られます。色調は微かにピンクにシフトした綺麗な黄金色。シャブリと同じキンメリジャン土壌に加えて北向き斜面ということもあってか、ボディは比較的タイトかつ軽快でアタックからアフターまで終始「酸」が基軸となった明確な仕上がりとなっています。テクスチャは艶やかでキレがあり、内部にはエキス感や仄かな熟成要素も感じられますが、全てを酸で纏め上げていることもあってか、受ける印象は思いのほかシンプルだったりもします(単一品種&単一ヴィンテージらしい潔さ)。不思議な構造感を有する独自性も興味深く、コート・デ・バールをそのまま表現するクランデスタンの特徴がそのまま享受できる印象でもあります。リキュールを一切添加しないブリュット・ナチュールではありますが、意外とそこまで鋭くはなく、じっくり向き合えばむしろ優しく実の詰まった果実味も仄かに感じられるので、全体像としては思った以上にバランスが取れています。
(2025/04)